将棋の駒の読み方全8種と裏面の正体|王将玉将の違いや動かし方を解説
日本伝統の頭脳ゲームであり、近年はAI技術の進化やネット対局アプリの普及によって幅広い世代から再注目を浴びている将棋。いざ盤に向かおうとした際、多くの初心者が最初に立ち止まるのが「駒の読み方」や「裏面に書かれた難解なくずし字」の壁です。「飛車」や「角行」といった有名どころは知っていても、「竜馬」をどう読むのか、「と金」の「と」は何の文字なのか、さらには王将と玉将の使い分けまで、正確に把握できている人は意外と多くありません。
盤上に並ぶ全8種類・計40枚の駒には、古代から受け継がれてきた歴史的な意味や美しい草書体の文化、そして戦況を左右する明確な強さの序列が存在します。本稿では、初心者から学び直したい愛好家に向けて、全駒の正式名称と実戦での呼び名、裏面(成駒)の漢字の正体、さらには盤上作法である「大橋流」の並べ方まで、取材データと一次資料をもとに分かりやすく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:基本の駒は全8種類(裏面を含めると計14通り)。実戦の会話やプロの解説では「飛(ひ)」「角(かく)」のように省略して呼ぶのが一般的。
- 要点2:裏面の読めない文字(成駒)の多くは「金」の草書体。「と金」の由来や「王将・玉将」の格の違いを知ることで駒への理解が一気に深まる。
- 要点3:駒の強さ序列(飛・角>金・銀>桂・香>歩)と正しい動かし方、伝統的な「大橋流」の並べ方を覚えることで、迷わず対局を楽しめるようになる。
【一覧表で速攻理解】将棋の駒の種類と名前一覧|全8種の正式名称・裏面・強さ序列
将棋で使用する駒は、表側だけで全8種類存在します。相手の陣地(敵陣3段目以内)に進むと駒を裏返してパワーアップさせる「成る(ならせる)」というルールがあり、裏面(成駒:なりごま)を持つ駒が6種類あります。まずは盤上に登場する全駒の正式名称、読み方、実戦での略称、そして駒の強さの目安となる点数序列を一覧表で整理しました。
| 駒の表記(表 / 裏) | 正式名称と読み方 | 実戦・会話での呼び方 | 裏面の読み方(成駒) | 強さの目安(駒の価値点) |
|---|---|---|---|---|
| 王将 / 玉将 | おうしょう / ぎょくしょう | 王(おう)、玉(ぎょく) | なし(成らない) | 無限大(取られたら敗北) |
| 飛車 / 竜王 | ひしゃ / りゅうおう | 飛(ひ)、竜(りゅう) | りゅうおう(竜) | 約10点 → 成ると約12点(最強の大駒) |
| 角行 / 竜馬 | かくぎょう / りゅうま(りゅうめ) | 角(かく)、馬(うま) | りゅうま / うま(馬) | 約8点 → 成ると約10点(遠隔を射抜く大駒) |
| 金将 | きんしょう | 金(きん) | なし(成らない) | 約6点(守備と詰めの要) |
| 銀将 / 成銀 | ぎんしょう / なりぎん | 銀(ぎん)、成銀(なりぎん) | なりぎん | 約5点 → 成ると約6点(攻守自在の小駒) |
| 桂馬 / 成桂 | けいま / なりけい | 桂(けい)、成桂(なりけい) | なりけい | 約4点 → 成ると約6点(唯一の飛び道具) |
| 香車 / 成香 | きょうしゃ / なりきょう | 香(きょう)、成香(なりきょう) | なりきょう | 約3点 → 成ると約6点(直進特化の槍) |
| 歩兵 / と金 | ふひょう / ときん | 歩(ふ)、と金(ときん・と) | ときん | 約1点 → 成ると約6点(変身時の価値最大) |
プロ棋士の対局解説や将棋ファンの会話では、正式名称の「飛車」「角行」「歩兵」ではなく、「ひ」「かく」「ふ」と一文字で呼ばれるケースが圧倒的多数を占めます。まずはこの略称に慣れることが、将棋の世界をスムーズに楽しむ第一歩です。

読めない裏面の謎を解明|成駒の漢字の読み方と「と金」の由来・くずし字の正体
初心者が実際の将棋盤や高級な木製駒を手にしたとき、最も戸惑うのが「裏面に書かれている謎の文字」です。フォントによってひらがなの「と」に見えたり、崩れた記号に見えたりしますが、これらには歴史的な「くずし字(草書体)」の明確な背景があります。
成銀・成桂・成香の裏面はすべて「金」の草書体
銀将、桂馬、香車の3つは、成るとすべて「金将と全く同じ動き」へと進化します。そのため、裏面に書かれている文字はすべて漢字の「金」を崩した草書体です。駒師の書体(錦旗、水無瀬、源兵衛清安など)によって崩し方にバリエーションがつけられており、銀の裏は少し画数が多く、香車の裏は流れるような筆致になっているなど、見分ける工夫が凝らされています。
「と金」の読み方と由来|なぜ歩が成ると「と」になるのか?
歩兵の裏面にある「と」のような文字は、一般に「ときん(成歩)」と呼ばれます。この「と」の由来には歴史的に複数の有力な説が存在します。
- 「金」の簡易表記説:「金」という文字を極限まで速記・草書化した結果、ひらがなの「と」に似た形になったという説。
- 「今」の草書体説:「金」と同音であり、漢字の「今(きん)」を崩した文字が定着したという説。
- 「止(とどまる)」説:歩は前にしか進めないが、成ることで「金」としてその場に強固に止まり敵を制圧するという意味合いから「止」の変体仮名が使われたという説。
文献資料や駒文字の変遷を研究する専門家の間でも「金」や「今」の草書体とする見解が主流であり、いずれにせよ「最も安い1点の歩が、6点の金将へ大出世を遂げた証」として親しまれています。
竜王と竜馬の読み方|「りゅうま」と「りゅうめ」の違い
大駒である飛車と角行が成った場合の読み方は以下の通りです。
- 竜王(りゅうおう):飛車の成駒。裏面には「竜(龍)」と刻まれることが多い。飛車の前後左右への無限の動きに加え、斜め4方向に1マス動けるようになります。
- 竜馬(りゅうま / りゅうめ):角行の成駒。裏面には「馬」と刻まれます。古語や伝統的な将棋界の呼称では「りゅうめ」と読まれることもありますが、現代の対局会話や中継では「りゅうま」または単に「うま」と呼ぶのが一般的です。
初心者が絶対知るべき違い|「王将と玉将」および「金将・銀将」の決定的な差
将棋セットを開けた際、同じように見える駒の中に微妙な表記の違いを発見して疑問を持つ方は少なくありません。特に代表的な2つの疑問を掘り下げます。
王将(おうしょう)と玉将(ぎょくしょう)の明確な違いと格式ルール
将棋の駒の中で、大将となる駒には点(・)がある「玉将」と、点がない「王将」の2枚が存在します。動き方は「全方向(縦・横・斜め8方向)へ1マス」で全く同じですが、どちらを持つかには伝統的なマナーと序列が存在します。
- 王将を持つ人:上位者(段位・棋力が上の人、タイトル保持者、年長者、または上手〈うわて〉)。
- 玉将を持つ人:下位者(段位が下の人、挑戦者、年少者、または下手〈したて〉)。
歴史的には、古代インドのチャトランガから派生した当初は宝石を意味する「玉将(ぎょくしょう)」が本来の名称でした。のちに最高権力者を示す「王将」が作られ、上位者が王を名乗る慣習が根付きました。現代プロ公式戦でも、タイトル保持者が「王将」側に座り、挑戦者が「玉将」側に座る厳格な作法が継承されています。
金将(きんしょう)と銀将(ぎんしょう)の動きと役割の違い
見た目も名前も似ている「金」と「銀」ですが、盤上での機能は大きく異なります。読み方はそれぞれ「きんしょう(金)」「ぎんしょう(銀)」です。
- 金将の動き:前・斜め前(2方向)・左右・後ろの計6マス。「斜め後ろには引けない」のが最大の特徴で、王を守る盾や敵を確実に仕留める「詰め」に多用されます。成ることはできません。
- 銀将の動き:前・斜め前(2方向)・斜め後ろ(2方向)の計5マス。「真横と真後ろには引けないが、斜め後ろにスムーズに後退できる」のが強みです。敵陣に切り込むアタッカーとして活躍し、敵陣に入れば成って「成銀(金と同じ動き)」に変身することも可能です。

【動かし方完全ガイド】香車・桂馬の読み方・動かし方と特殊ルール
将棋の駒の中で、独特な直線機動力や変則的なジャンプ能力を持つのが「香車」と「桂馬」です。それぞれの特徴と動かし方の注意点を整理します。
香車(きょうしゃ)の動かし方|前進特化の「槍(やり)」
香車は「きょうしゃ」と読み、会話では「きょう」と略されます。盤面の端(1筋と9筋)に配置され、「前方に遮る駒がない限り、何マスでも真っ直ぐ進める」駒です。後ろや横には一切動けず、後退ができないため「槍」とも呼ばれます。敵陣1段目まで進んでしまうと前進できなくなるため、必ず成らなければならない(強制成り)という公式ルールがあります。
桂馬(けいま)の動かし方|盤上で唯一「他駒を飛び越える」八艘飛び
桂馬は「けいま」と読み、会話では「けい」と呼ばれます。チェスのナイトに似た動きを持ち、「前方に2マス進んだ位置から、左右に1マスずれた場所(計2箇所)」へ移動します。
桂馬の最大の特徴は、「自分と目的地の間に他の駒(味方・敵問わず)があっても飛び越えられる」という盤上唯一の特権です。密集した守りをすり抜けて王手をかける強力な奇襲駒として重宝されます。香車と同様、敵陣の奥深く(1段目・2段目)に進むと移動先がなくなるため、2段目または1段目に到達した時点で強制的に成る必要があります。
【実態検証】駒の並べ方「大橋流」の手順と将棋道場で恥をかかない盤上作法
将棋の駒を並べる順番には、江戸時代の家元制度から続く伝統作法が存在します。代表的な並べ方が「大橋流(おおはしりゅう)」と「伊藤流(いとうりゅう)」です。現在、プロ公式戦や全国の将棋道場で最も標準的に用いられている「大橋流」の並べ順を把握しておくと、対局前の所作が非常に美しくなります。
大橋流の具体的な配置手順
- 中央最下段に「王将(または玉将)」を置く。
- 王の左側に「左金」、続いて右側に「右金」を置く。
- 同様に外側へ「左銀」→「右銀」→「左桂」→「右桂」→「左香」→「右香」の順で左右交互に下段を埋める。
- 2段目に移り、「左の角行」、続いて「右の飛車」を置く。
- 3段目の歩兵は、中央(5筋)から始めて「中央歩 → 左歩 → 右歩」と外側に向かって交互に並べる。
全国の将棋道場や愛好家のコミュニティ調査でも、「大橋流の手順で落ち着いて駒を並べるだけで対局前の集中力が高まり、相手に対する敬意が自然と伝わる」という声が数多く寄せられています。対局前の所作が整っていると、初心者であっても盤上で堂々とした品格を保つことができます。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|会話用語と公式呼称のギャップ
ネット将棋や配信動画を見ている初心者が混乱しやすいのが、棋士や実況者が使う特有の業界用語です。文字の表記と実際の呼び名のギャップを整理しておきましょう。
「生角(なまかく)」「生銀(なまぎん)」とは何か?
敵陣に入った駒は成ることができますが、あえて成らない選択(不成:ならず)をすることもルール上認められています。このとき、成っていない元の状態の駒を強調して「生角(なまかく)」「生銀(なまぎん)」と呼びます。銀を成らずに前進させて相手の玉を追い詰める高等戦術などで頻出するワードです。
【プロの結論】将棋の上達スピードが劇的に変わる「駒の価値観」の身につけ方
将棋の駒の読み方や動かし方を一通り覚えた後、初心者が最も早く脱皮するための分かれ道は「駒の価値(点数)を正しく見積もれるかどうか」にあります。
- 伸び悩む人の特徴:駒を取られることを極端に怖がり、盤面の端で守備駒を抱え落ちさせてしまう。
- 急成長する人の特徴:「歩1枚で相手の金や銀をおびき出す(歩の犠牲=1点損して6点を得る)」といった駒得(こまどく)の損益分岐点を冷静に捉えられる。
駒の読み方や名前の由来を知ることは、単なる暗記ではありません。それぞれの駒が持つ「射程」「重さ」「成ったときの大化け度合い」を愛着とともに理解することが、盤上の大局観を養う最高の近道となります。
【将棋 駒 読み方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「竜馬」は「りゅうま」と「りゅうめ」のどちらで読むのが正しいですか?
A1:公式・伝統的な読みとしては「りゅうめ」とも読まれますが、現代の一般的な対局、プロ公式戦の解説、テレビ中継では「りゅうま」または略して「うま」と呼ぶのが完全に定着しています。どちらを使っても間違いではありませんが、会話では「りゅうま」「うま」を使えば100%通じます。
Q2:将棋の駒の裏面の赤文字は何ですか?黒文字の駒との違いは?
A2:プラスチック駒や初心者用セットでは、成ったことが一目で分かるように裏面が赤い漆(朱文字)で書かれているものがあります。高級な木製彫駒では裏面も黒文字で書かれるのが通例ですが、文字の色によるルールの違いは一切ありません。
Q3:一番価値の高い駒と、一番強い駒は何ですか?
A3:盤上で最も「価値が高い(失うと負けになる)」のは王将(玉将)です。一方、盤上で「最も動きの自由度が高く攻撃力が強い」のは、飛車が成った竜王(りゅうおう)です。
Q4:駒を動かしたときに相手陣に入っても、必ず成らなければいけませんか?
A4:原則として「成る」か「不成(ならず)」かはプレイヤーが自由に選べます。ただし、香車・桂馬・歩兵が最奥段に進み、それ以上前進できなくなる場所に進んだ場合のみ、必ず成らなければならない(強制成り)という例外ルールが存在します。
まとめ:駒の基本と読み方をマスターして自信を持って対局を楽しもう
将棋の駒は全8種類、裏面を含めても14通りの呼び名と役割を把握するだけで、対局のルールやプロ棋戦の解説が驚くほど明快に理解できるようになります。裏面に書かれた「くずし字」の歴史や、王将・玉将に込められた礼儀作法、そして大橋流の美しい並べ順は、日本の伝統文化としての奥深さを象徴しています。
オンライン対局アプリであっても、実際の木製将棋盤であっても、駒への正しい知識と敬意を持つことで対局の面白さは何倍にも膨らみます。まずは気になる駒を盤上に並べ、その動きと響きを楽しみながら最初の一手を指してみましょう。 (出典: 将棋 駒 読み方(Yahoo!ニュース))